
ラグビー部が5月2日(木)~5日(日)に岩手県釜石市へ遠征し、復興支援ボランティアを行いました。
地元住民の交流の場として今後利用が予定されている「箱崎ファーム(仮称)」では、部員ら約40人が草むしりやがれきの撤去など、汗を流しながら黙々と作業を実施。遠征ではそのほか、被災地域の視察や釜石商工高等学校生との交流、釜石シーウェイブスとの合同試合なども行いました。
マネージャーの山崎優佳里さん(情報科学部4年)は「遠征で学んだのは、足りているということを知る心『知足心』です。ごはんを食べられること、ラグビーができることなど、当たり前のことに感謝しなければならないのだと感じました」と話し、主務の鈴木智丈さん(経済学部4年)は「これからも自分たちにできることは何かを考え、実行していきたいです」とコメント。谷崎重幸監督は「部員たちには大きな学びになったと思います。今回感じたことを今後に生かしてもらいたいです」と部員にエールを送ります。
今回の遠征は、OBの釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)RFCの伊藤剛臣選手が2012年度にチームアドバイザーとして就任したことが契機となり実現。釜石市と本学ラグビー部とは、中西成幸元監督(故人)が新日鉄釜石ラグビー部(現:釜石SW)の監督も務めていた1970年代からの長いつながりも有しています。
岩手県釜石市 復興支援ボランティア遠征 報告書
体育会ラグビー部は、5月2日~5月5日にかけて、東日本大震災で被災された岩手県釜石市にボランティア遠征をしてきました。復興地域の視察、釜石市箱崎町のボランティア活動、釜石シーウェイブス、東北学院大学との合同練習が主な内容です。
2日目の午前中には復興地域の視察をさせていただきました。多くの地域住民が犠牲となった鵜住居地区防災センターは2階建てで、天井の電線や鉄骨はむき出しの状態でした。
エレベーターも途中で止まっていて、傾いたままでした。窓ガラスは割れ、2階の天井から約5センチの位置に津波の痕跡が残っており、改めて津波の恐ろしさを知らされました。
また、釜石港を見渡せる高台で防波堤の説明を受けました。釜石港には、世界最大水深の防波堤が2010年に完成していましたが、東日本大震災の津波で破壊されてしまいました。住民の方々は、その防波堤を信じて高台に非難しなかった方もいたそうです。人間が作った人工のものは必ずしも、人間を守ってくれるわけではなく、自分の身は自分で守らなければならないということを教えていただきました。
お昼は釜石市の根浜海岸にある宿「宝来館」で海鮮丼と釜石汁をいただきながら、女将さんの話を聞かせていただきました。事前にラグビー部全員で、宝来館に津波が押し寄せる瞬間、女将さんが裏山に逃げ込む場面の映像を見ていました。実際に女将さんに案内され、その裏山にも登らせていただきました。宝来館の女将さんは精一杯、お話をしてくださり、生きる上で自然災害が発生することは避けることができないが、災害が起こる前に伝えていくこと、災害に直面したときはラガーマンとしては助ける立場になって欲しいことをおっしゃってくれました。災害を乗り越え、とても明るく元気に語ってくれた女将さんに、私たちが励まされました。
2日目の午後と4日目の午前中には、釜石市箱崎町の箱崎自然ファームで、草取りや土おこしなどのボランティアをさせていただきました。東日本大震災から2年が経過し、草も多く生えていました。また、海がとても近く、津波が押し寄せた土地であるため、土は粘土状になっている箇所があり、土をおこしも力の要する作業でした。土の中には、大きな石、割れたガラスや陶器、鉄パイプや写真なども見つかり、津波の痕跡を感じました。今回の私たちの行動が少しでも被災地復興の力になってくれれば嬉しく思います。
3日目は、地元の釜石シーウェイブス、東北学院大学ラグビー部との3チームで合同練習をさせていただきました。午前中は各ポジションに分かれスキル練習を行い、その後FW、BK分かれた形でのゲーム形式を行いました。スキル練習では、普段自分達が取り組んでいるものと違った技術を教えて下さり、とても新鮮でした。東京に帰っても継続して取り組むことで、自分達のレベルアップに繋げていきたいと感じました。午後からは3チーム三つ巴で試合形式を行いました。始まってから数プレーまでは、大学生に比べ体の大きい社会人に対して受けてしまっている部分があったのですが、「ここで自分達が体を張って勝つことが相手に対しての恩返し」という声が挙がりDF、OFともに前に出続け、体の大きな相手にも怯まずプレーすることが出来ました。結果、東北学院大学には大差で勝利しましたが、ターゲットであった釜石SWには2点差で敗れてしまいました。この経験を現在行われている春の交流戦、そして秋のシーズンに活かしていきたいです。釜石SWの皆様そして東北学院大学の皆様ありがとうございました。
今回のボランティア遠征では、足りているということを知る心「知足心」を学びました。私たちは、とても便利で豊かな生活をしていて、とても恵まれているということを、普通に生活していては気づいていなかったように思えます。当たり前のように、ごはんを食べることができることや、ラグビーができることに感謝しなければならないのだと感じました。今後、法政大学ラグビー部は釜石ボランティア遠征を継続し、これからも、釜石を元気付けられたらと思っています。
(ラグビー部 広報担当・生命科学部4年 工藤俊和 さん)
(ラグビー部 マネージャー・情報科学部4年 山崎優佳里さん)