センターからのお知らせ

2/2『地域交流DAY 2015』を開催 学生プロジェクト14チームが今年度の活動を報告しました

法政大学多摩地域交流センターは2月2日(火)、『地域交流DAY 2015』を開催し、地域で活動する学生プロジェクト14チームによる2015年度の活動報告と、関係者との交流会を行いました。成果と課題を率直にまとめた学生たちの報告とそれへの地域のみなさんのコメントを通して、活動を、地域と学生の両者にとって意味のあるものへと進展させようという意識を共有する土台ができたと確信することができ、センター開設3年のよい節目となりました。今回初めて設けた「法政大学地域交流賞」には、相模原市城山地域の活性化に取り組む「つながりプロジェクト」を選び、表彰しました。

集まってくださった参加者は、地域で連携してくださっている住民の方々、自治体、他大学の関係者など80人を超えました。今回、昨年と比べると、チーム数が9から14に増え、活動内容も、地域づくり、農業から子どもや高齢者への支援に至るまで、より多様になりました。発表では、地域側に解決したい課題があり、それにもとづくニーズがある一方で、学生としては「いかに自主的に活動するか」「自分たちのやりたいこととどう両立させるか」など、WINーWINの関係に向けて活動のステップアップを目指す学生たちの姿勢がより鮮明に浮かび上がりました。

学生プロジェクトの発表に対しては、それぞれ、地域での連携相手の方々からコメントや文書でのメッセージをいただきました。「学生の存在自体が地域に元気をもたらす」「世代の違いで異なる視点や手法が出た」といった評価や、「つながりをどうつくっていくか、何度も試行錯誤が必要」といった助言をいただき、活動の状況や地域での意義、位置づけが、より立体的に示されました。

また、会場の参加者の方々からも、アンケート用紙等を通して多くのご意見や助言、個別のプロジェクトに向けての「ぜひいっしょに活動したい」といった呼びかけをいただきました。特に、
「少しずつ地域の人を巻き込んで長く育てていってほしい。そのためにも、活動をもう少し可視化できたらよい
最後にどんな姿のものを作っていきたいのか、また、今、その姿のどの位置まで来ているのか、という観点があるとさらによい」
といったコメントは、センターにとっても今後の目標にしたいご指摘でした。

活動報告会の後の交流会では、なごやかな雰囲気のなかで、発表の振り返りや、地域の活性化に関心を持つ方々の間での新たなつながりづくりが展開されました。
この交流会の最後に、今回初めて設けた「法政大学地域交流賞」の発表も行われました。「地域の課題解決について、地域の方々と交流・連携しながら、学生ならではの発想や行動力で、その解決に向けて尽力」する学生プロジェクトに光を当てて、大学の内外に示していこうというねらいがあります。

センターの委員を務める教員たちとスタッフの協議の結果、地域の魅力的な”人”と”モノ・コト”を集めたガイドブック「トリセツ」づくりを企画し、制作を進めている「つながりプロジェクト」が選ばれ、表彰状が贈られました。活動の「第1フェーズ」である初めの段階においてはじっくりと地域の方々との交流を深め、活動をステップアップさせることを意識した「第2フェーズ」では、構築した信頼関係のうえに、地域にも学生にも役立ち、かつ喜ばれるガイドブックをつくるという段階を踏まえた活動や、その中で地域の方々への配慮も忘れずに臨んでいる姿勢などが総合的に評価されました。

全プロジェクトが一堂に会しての報告・交流会ーー。ある地域での取り組みが他の地域の活動のヒントになる、といった循環が生まれて、『地域交流DAY』がそれぞれのプロジェクトを前進させるきっかけとなることをセンターとして願っています。

<活動報告をおこなった学生プロジェクト(発表順)>

■子ども・高齢者・被災地支援 にかかわるプロジェクト
こはる:高齢者サロン活動(町田市相原・相模原市城山)
キラキラ星:「中心子どもの家」(児童養護施設、相模原市)における育ちの支援
Team Tama:繋げよう! 東北支援プロジェクト(宮城県石巻市小渕浜)
さんかく:子どもの居場所づくり(多摩市立諏訪小学校)

■ゼミに基づくプロジェクト
現代福祉学部 水野ゼミ:八王子駅南口 空き店舗活用プロジェクト
経済学部 山崎ゼミ:わくわくほうせい!(子ども向け科学体験イベント活動)
現代福祉学部 馬場憲一ゼミ:市民とともに武相地域の歴史と文化遺産を学ぼうプロジェクト

■里山地域でのプロジェクト
たまぼら 藤野佐野川プロジェクト(相模原市緑区佐野川)
たまぼら 藤野やまなみプロジェクト(相模原市緑区牧野)
つながりプロジェクト:つながりづくり・地域の魅力発見(相模原市城山)
Community Field:農を通じた地域交流プロジェクト(相模原市城山)

■団地でのプロジェクト
@団地プロジェクト:法政大学×地域 活性化プロジェクト(八王子市グリーンヒル寺田)
法政大学カフェ部(八王子市グリーンヒル寺田)
たまぼら 館ヶ丘プロジェクト (八王子市館ヶ丘団地)

<発表等の模様>

■開会

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会場は、多摩キャンパスの百周年記念館・国際会議場

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図司直也・多摩地域交流センター長より、開会のあいさつ

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新田誠吾・副学長のあいさつ

■子ども・高齢者・被災地支援 にかかわるプロジェクト 活動報告

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こはるの向田佳奈子さん(2年)。創設12年となる高齢者向けサロンを、町田市相原と相模原市城山で毎月開催しています。2015年度は、参加する学生メンバーの減少に直面。活動の「意義」をどう学生のなかで伝えていくかを今後の課題に挙げました。

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こはると連携する町田市・相原のサロンの地域側代表者、山崎清子さん。毎月のサロン開催の案内ハガキが、一人暮らしの高齢者に「社会の一員」と認められているという喜びを感じさせている、と地域側の受け止めについて紹介してくださいました。
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児童養護施設で子どもの遊び相手として活動するキラキラ星。(左から)香取理恵子さん(1年)、安部昴さん(3年)、溝上太さん(2年)。閉鎖的になりがちな施設に、施設の「外」の存在として関わる意味があると発表しました。連携する施設の「中心子どもの家」所長・丹 清さんからは、10年以上毎週訪れる学生の存在が、子どもたちだけでなくスタッフも励ましているとメッセージをいただきました。
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TeamTamaの上野貴朗さん(2年)。宮城県石巻市の小渕浜地区で、神社などにまつわる歴史の保存(聞き取りなど)や祭り神輿の復活、子どもへの学習支援や「寄席」の開催によるコミュニティづくりに取り組んでいると報告しました。被災から約5年となり、遠隔地から訪問する団体として状況の変化にどう対応して活動していくかが課題となっています。
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さんかくは、多摩市の諏訪小学校での放課後子ども支援活動に加わっています。発表は、加藤悠貴さん(2年・右)と飯島隆斗さん(3年)。

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諏訪小の放課後活動「ふれんず」は、学校、地域の方々、児童館、さんかくの他に多摩大学や国士舘大学も含む学生たちの連携で支えられています。その中で、学生たちは子どもたちの「近所のお兄さん、お姉さん」的役割を果たしています。さらに、地域の商店街のイベントにも協力するなど、活動を広げてもいます。

■ゼミに基づくプロジェクト 活動報告

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水野ゼミの飯島隆斗さん(3年)。八王子駅南口地域に、ゼミとして数年来取り組んでいる。「リタイア男性が引きこもっている」との仮説を立て、居場所となるカフェの開設を目指してヒアリングやイベント開催を行ったが、場所や協力者探しが難航したうえ、仮説自体も再検討が必要と感じるに至った、と率直に語った。学生が地域の状況を理解し、課題に取り組む”難しさ”を伝える発表として注目を集めました。

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水野ゼミの協力者として、石川敏之さん(八王子市民の学校「まなび・つなぐ広場」などで活動)と小俣能範さん(うさぎや株式会社)からコメントをいただきました。小俣さんは「つながりのない人たちをつなぐことは、できあがっているグループに入っていくよりさらに難しい」と指摘されました。

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山崎ゼミ「わくわくほうせい!」の笠井大郁さん(3年・左)と大石奈実さん(3年)。子どもに科学や自然への関心をもってもらおうと取り組んだ、科学体験イベントの活動を報告。ショーの出し物の紹介として、ゴム風船を割ることなく、見事に”つまようじ”を刺してみせ、楽しさを伝えました。

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「わくわくほうせい!」の活動に園児を参加させた小山保育園の高橋邑子園長。きっかけは、民生委員・児童委員の仲介。多摩キャンパスで、自然に触れるウォークラリーと葉脈しおり作りを行った園児の声を伝え、「普段できない体験をさせてもらえた」と語ってくださいました。

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馬場ゼミ神津秀樹さん(3年)と長妻燎平さん(3年)が発表。学外の方に参加を呼びかけて開催した、八王子周辺で栄えた絹産業の歴史をたどる「絹の道」ツアーや、多摩キャンパス内や八王子、相模原両市に残る戦跡に関するシンポジウムについて報告しました。

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馬場ゼミの「絹の道」ツアーでガイド役を務めてくださった八王子市郷土資料館ボランティアの大高利一郎さんと福士堯夫さん。馬場ゼミのツアーでは、最後に参加者全員に感想を聞く場を持ち、違う見方や歩いての実感を共有して、交流の場となったとコメントくださいました。

■里山地域でのプロジェクト 活動報告

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相模原市藤野の佐野川地区で活動する、サークルたまぼらの藤野佐野川プロジェクトの発表。左から、神田将志さん(1年)、田口修弘さん(2年)。「佐野川地域おこしの会」と連携して小麦や大豆栽培の手伝いをするほか、手入れされなくなった茶畑の整備にも取り組んでいます。

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製茶したお茶のパックも披露。茶畑整備を通して、地域の景観を守ることと、お茶の商品化による地域の魅力発信の二つを目指します。「佐野川地域おこしの会」の藤本孝純さんからは、「貴重な時間を投資するからには意味ある活動を展開したい。もっと話し合いの場を設けて、地域と一体感が持てる活動を」とメッセージをいただきました。

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たまぼら 藤野やまなみプロジェクトの輕部士郎さん(1年・左)と齊藤彩乃さん(2年)。藤野・牧野地区にある「やまなみ温泉」周辺で、ハーブ園づくりやホタルの再生に取り組んでいて、地域の方や他の学生をもっと巻き込みたいと語りました。「牧野元気創生会」の落合幸一さんは、「初めは「労力の提供」レベルだったが、次第に自力で「立案」「計画」「実行」するようになってきた」と、コメントをくださいました。

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相模原市城山で活動するつながりプロジェクトの発表は、 助川功樹さん(4年・左)と島崎昭光さん(3年)。2年に亘る活動をふり返りました。

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昨年度までの活動で地域との関係が深まりつつも、地域からのお祭りや行事などへの参加要請(地域ニーズ)に応えるだけで満足しなかったつながりプロジェクトのメンバーたちは、自分たちが「やりたいこと」も加えようと模索。その中で「城山の魅力を伝えるガイドブック」、名付けて「トリセツ」を考案しました。

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つながりプロジェクトの活動地域で連携してくださっている、城山の城北自治会長の八木隆子さん。つながりプロジェクトがつくったTシャツ姿で登場し、学生たちとの距離の近さや、連携で得たエネルギーを全身で表してくださいました。

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ガイドブック「トリセツ」の見本がこちら。城山で出会った人の魅力と、その人を通して触れたモノ・コト(観光資源)の魅力を合わせて紹介する内容です(この中では人物は愛称で紹介され、八木隆子さんも「たかちゃん」で登場)。

 

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農業サークルCommunity Field舟串大希さん(2年)と三宅涼介さん(2年)。活動地域は相模原市城山の小松地区。今年度初めてキャンパス内から学外に出て畑を借り、野菜作りに取り組みました。地域の方々を招いて、「収穫祭」と称する食事会兼交流会も実施し活動の幅を広げました。

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Community Fieldが借りている畑をお世話くださった城山・小松自治会長の大参正人さん。「”老い”は、年月を経ただけではなく、情熱を失ったときにやってくる。CFから元気をもらえて地域の活性化になっている」とコメントをくださいました。

■団地でのプロジェクト 活動報告

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八王子市のグリーンヒル寺田団地の活性化に取り組む @団地プロジェクトは、1年生3人が発表。左から高山祐輔さん、小野美瑞季さん、神澤志織さん。空き店舗を利用して1,2カ月おきにイベントを開催し続け、地域の団体とのつながりや協力関係ができてきたこと、他のサークルと連携して参加する学生も広がってきたと、手応えを語りました。

 

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地域包括支援センターの堀間華世さん(左から2人目)は、高齢者が安心して住み続けられる地域を願い、@団地プロジェクトの学生たちとグリーンヒル寺田の方々の接点に関わり続けてくださっています。初めは「学生にやってほしい」という態度だった住民の方々が、学生と関わると自分たちが元気になることに気づき、最近は「学生に協力したい」という姿勢になってきている、と、変化を語ってくださいました。

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法政大学カフェ部の光山未織さん(3年)。グリーンヒル寺田の集会所で毎月1回、コミュニティ・カフェを運営しています。豆にこだわり、メニューを増やしてカフェとしての質を上げつつ、誰もが入りやすくくつろげる場づくりで、地域交流の促進も目指しています。

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グリーンヒル寺田の住民の中西昇さん。趣味のジャズをBGMとして流してくださるなど、活動に毎回協力してくださっています。「開店時間前から待ちきれないお客さんがやってくる。もっと回数を増やしてもらえるといい」と激励をいただきました。

 

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八王子市の館ヶ丘団地で活動する、たまぼらの館ヶ丘プロジェクトの発表は、宮田康一さん(1年・左)と木村高啓さん(2年) 。高齢化率が約50%に達する同団地に開設されている八王子市の「シルバーふらっと相談室」と連携して、高齢者の方々への支援や、お祭り、ハロウィンなどイベントを通じてのコミュニティづくりに取り組んでいます。

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学生たちは昨年までは、平日のカフェの手伝いや自転車タクシーなどの「助っ人」役が中心。今年は「自主性」をアップさせようと、土日に学生自主企画のカフェを開いたり古本の交換市を実施したり、学生発のアイディアを形にする段階に進みました。ふらっと相談室の室長・今泉靖徳さんは、「館ヶ丘団地に足を運んでくれた多くの学生達と住民の皆さんの交流の積み重ねで、若者と高齢者がお互いを信頼し支えあう空気ができ、皆さんの大きな変化を地域が受け入れられた」 と、メッセージで変化の背景を読み解いてくださいました。

■活動報告会 会場風景

休憩時間には、ロビーでカフェ部が日頃鍛えたハンドドリップでコーヒーを淹れて、参加者のみなさんにリフレッシュしていただきました。また、ケーブルテレビのJCOM、東京新聞、地域の読売新聞販売店発行の情報紙「よみっこ」に取材・報道もしていただきました。

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<交流会・「法政大学地域交流賞」につながりプロジェクト>

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表彰式では、活動地域の城山地区で協力していただいている城北自治会の八木隆子・会長、小松自治会の大参正人・会長も一緒に並んで、受賞を祝福してくださいました。

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